「たーまちゃん!」


そう言って極上の笑顔を向けて。


「何?」


って俺が君に視線を向ければいつの間にか他の男と話してて。

呼んだくせに、なんて心の中で拗ねていたらごめんごめん!とまた笑って俺の元へ来るんだ。

ああ、そんな君を今日も俺は


サワレナイ


「玉ちゃん!今日放課後遊ぼうよ!」


「今日?」


「うん!」


突然だなあ、なんておもいながらもいつもの彼女の行動だ。

あんまり気にせずに少し笑って頷いた。

やった!と喜ぶ彼女を見たら、肩にゴミが付いていた。

とってあげようと手を伸ばすと彼女は方向転換。


「あ、ねぇニカも来る?」


前の席でうつ伏して寝ていた二階堂の所へ行ってしまった。

彼女に伸ばした手が空を切ってゆっくりと下がる。


「何が?」


「今日玉ちゃんと放課後遊ぶんだけど、ニカも来る?って」


「んー俺パス。渉と用事あるし」


「え―…残念」


「ってか、肩にゴミ付いてるけど」


「わ、ありがとニカ!」


その言葉、本当は俺が言われるはずだったのに。

俺よりも楽しそうに、幸せそうに笑っているのは気のせい?


街中。

はいつも少し先を歩いて時折振り向く。


「玉ちゃん!遅いよ」


なんて言って笑う。

の笑顔は好きだけどが笑うたびに男が振り向くからむかつく。

俺がいなきゃすぐに声でもかけられそうだ。

逸れて、他の男に目を付けられない様に。


、」


「ん?何、玉ちゃ、」


の言葉を遮っての手を無理矢理繋ぐ。

何してんの!と少し赤い顔で言われたけど(俺も恥ずかしいんだよ)


「逸れない様に」


なんて言ったらちょっとだけ握り返してくれた。

好きなやつはあいつだとわかっていても少しだけ、嬉しい。

それから色々な店に入って色々話して。


「あ、もう時間だ」


なんて呟いたと思ったらするりと俺の手を解いてしまった。

送るよ、なんて言葉を出す前には人ごみの中に消えていった。

いつもはこんなに忙しくなかったのに…。

そう言えば今日の彼女はいつもよりそわそわしていた気がする。


「もうちょっと、いたかったな」


なんて乙女みたいな発言をしてしまって自嘲気味に笑う。

急に離された手の平は熱が冷めていってやけに悲しい。

帰る気もしなくてキタミツに電話したけど無視された。(…)

一人でその辺をぶらぶらして薄暗くなったころにのんびり家へ足を向ける。

いつもは賑やかな公園もこの時間帯は子供もいないな。

そう思いながら公園をちらりと見るとひと組の男女。

カップル?とか無駄に気になって少しだけ、目を凝らす。


「本当?ありがとう、ニカ!!!」


そう聞こえた声は確かに俺の大好きな声で。

うっすらと見えた笑顔はやっぱりだった。


―いつもよりそわそわしてた気がする。


…二階堂と、会う約束してたのか。

思考は冷静に判断しても動いてた足はぴたりと止まったまま動かない。

動かないと、と結論にたどりついても俺は視線を外すことができなかった。

数分後、「じゃあな、」と二階堂が公園から出ていくのが見えた。

それでも俺は立ち去ることができずに、公園に残っているを見つめていた。

嬉しそうに綺麗にラッピングされた袋を抱えていた。

何故か、悔しさが込み上げた。

はこのまま、二階堂の所へ行ってしまうんだろうか。

そう思うと悲しくて、彼女の名前が口から漏れた。

彼女はびくり、と肩を震わせて視線をこっちに移す。


「……たま、ちゃん?」


驚いた顔をして袋を背中に隠す。

俺は公園に入っての所へ行く。

なんだか、足が重かった。


「どうしたの?玉ちゃん、」


「ねぇ、


「ん?何」


その笑顔がもうつらくて、

を抱きしめた。


「た、ま…ちゃん、?」


力を込めて、抱きしめる。


、俺さ」


「玉ちゃんってば人肌が恋しいの?やだなー他の人にしてよね」


けらけらと笑う声がやけに胸に刺さる。

は俺の体を押して「私もう帰るね!ばいばいうさぎさん♪」と帰って行った。

俺の精一杯の抵抗は、ジョークで返されて。

君は力ずくじゃさわれない。

どうやったら、君の心にまで触れられる?





辛くて苦しくて。

あいつに恋するに恋する俺。

もう耐えられないと思った。

そんな俺とは裏腹に、朝から妙には機嫌が良かった。

二階堂に機嫌よく話しかけて、俺の前だと少し緊張したような素振りだった。

昨日のでもしかして嫌われたかな、なんて思った。


「玉ちゃん、」


「…何?」


「このあと、自習でしょ?…サボろ、」


真剣な顔で言い放って俺の返事も聞かないでは鞄を持って教室から出ていった。

ぼんやりと出ていった扉を見ていると二階堂がぼーっとしてねぇで行けよ、と催促するから、

俺は鞄を持って渋々教室から出ていった。今頃は多分屋上だろう。

重々しい扉を開けると冷たい風が頬を掠る。

はフェンスに寄り掛かって空を見ていた。

手には昨日のラッピングされた袋。


「遅いよ」


いつものように言ったつもりだろうけど、顔が少しぎこちない。


「…何?」


「私さ、告白しようと思うんだよね」


唐突に切り出されて間抜けな声が漏れた。

でもはこう言いたいんだろうな。

二階堂に告白したから協力して、って。


「なにすればいいの?」


なんて余裕ぶって切り出したのは確かに強がり。


「目、瞑って」


「目?」


「いいから、瞑って!」


少しむっとして言うから、俺は従って目を瞑る。


「これから色々言うけど、…絶対目、開けないで」


「何言ってんの…」


「良いから!絶対だよ!?」


「…うん、」


「私ね、毒舌で実は腹黒で、肌白くてのんびりしてるとこ好きなの」


「…うん」


「一緒に居ると楽しくて、ドキドキして。」


二階堂に言う言葉、かな?

…にしては少し当てはまらない所があるけど。(実はじゃなくて、あいつは腹黒だしのんびりしてないし)


「ずっと野放しにしてたけど、…言おうと思うの」


瞬間、口に触れる柔らかい感触。


「…え?」


「玉ちゃんが、すき」


目を開けたら顔を真っ赤にしたがいて。

目、開けないでって言ったでしょ!と顔を真っ赤にして言う。


「…、二階堂が好きなんじゃ」


「ニカ、は協力してもらってたんだよ…?」


「へ、?」


「好きなのは、玉ちゃんだけだもん」


そう言って無理矢理袋を押し付けてきては屋上の扉へと向かって行った。


?」


「恥ずかしい…!帰る」


そう言ったの耳は確かに赤くて。

それが可愛くてすぐに彼女を抱きしめた。


「俺も好きだよ」


真っ赤な顔で、真っ赤な顔のに言えばはにかんで口を開いた。


お誕生日、おめでとう


笑って言う君に対して俺はやっと今日が自分の誕生日だということを思い出して、2人して笑った。

(サワレナイと思っていた君も、君の心も今は俺のすぐ隣に。)



****

っぎゃ!

玉ちゃんおめでと!

あと10分しかない!

適当でごめんなさい!

色々わけわかんないと事か言い訳とか←日記のほうで書きたいと思います…!


(090317)