朝も目覚めが良くて。

ご飯も起きたら用意されてて(いつもは料理に取り掛かってもない)

ちら、と見た占いが1位で。(占いなんか信じてないけど…少し嬉しい)

今日はいい日だよな、と思って家を出た。

で、途中でジュースが飲みたくなったから鞄を漁ってみる、と。


「…は?」


財布の代わりにカロリーメイトの箱が入ってた。(…意味わかんね、)

確かこれは昨日帰りにコンビニで買い食いしたやつ、で。


「財布どこだよ」


漁っても財布は見当たらない。

家で出した覚えもない。

…まさか、


「…落とした?」


そう呟いてみるとやべ、と自然と声が漏れる。

確か、食べ終わったときゴミ箱がなかったからゴミを鞄に突っ込んで、

数分後ゴミ箱があったから手探りでゴミ掴んで捨てたんだっけ。


「うわ…、俺すっげぇ馬鹿じゃん」


はぁ、とため息をついて財布を捨てたっぽいゴミ箱の所へ向かう。

見てもあるのは少量のゴミのみ。

覗き込んで溜息をついてたらちょうど通りかかった登校中の藤ヶ谷に笑われた。(うぜぇ)

諦めて藤ヶ谷の自転車に跨ったらすげぇ嫌な顔して「男と2人乗りって辛いんだけど」と言い放たれた。

いいから行けよ、と軽く殴ったら何か言いたそうにこっちを見てゆっくりと進み始めた。(今日は宮田に全部奢ってもらおう)

朝から2人乗りしてる俺たちは凄く目立ってて途中で会った横尾に「お前ら…」と深刻な顔された。





「え、北山財布捨てちゃったわけ?」


休み時間きょとん、と俺の顔を見て驚く藤ヶ谷。

そうだよ、と返すと凄く憐れんだ顔を一瞬だけ見せた後目の前で爆笑し始めた。(…むかつく


「超馬鹿!超馬鹿!北山かっこ悪−!」


あははは!と腹を抱えて笑う藤ヶ谷の頭を持ってた分厚い教科書の角で殴って宮田にメールする。

今日、奢れ。と俺様ぶり発揮しまくりのメールを一言送ると抗議の返事が返ってきたけど気にしない。

痛!と目の前で騒ぐ藤ヶ谷もシカト。(朝は気分良かったのにな、)

先生が教室に入ってきたことをいい事に騒ぐ藤ヶ谷を席に着かせる。

授業中、宮田の「じゃあ300円まで!」と言う内容のメールを見て溜息をついた。

くぅ、と鳴った腹に今日は少しで我慢しろよ、と心の中で言い聞かせた。




昼休み。

早速弁当を広げる奴やすでに買っていた奴らが上手そうに飯を食べる。

美味そうな匂いに何度か吐いたわからない溜息をついて宮田を待った。


「きたやまひろみつ…くん」


突然、可愛らしい声が聞こえて扉を振り向けばおどおどと扉の前に立っている女子。

見たことないから他クラスだろう。

大きな瞳で俺を見つめている。


「何?」


立ち上がって近づくと少しびく、とした彼女がゆっくりと財布を差し出してきた。


「…俺の財布」


受け取ると彼女はよかった、と呟いた。


「これ、ゴミ箱の中入ってて、中見たら生徒手帳が挟まってて同級生だったし…」


だから、届けたの。と軽く俯き彼女は言った。

もちろん、中は取ってない、よ!と慌てて言う彼女にうん、と返事をした。


「じゃあこれで…!」


「ちょっと、待って!」


「…へ?」


「…名前は?」


「え…と、


、…さんきゅ」


笑ってそう言うと彼女は顔を真っ赤にしていきなり頭を下げた。(…え?)


「ご、ごめんなさい!」


「え、…何が?」


この状況はかなり目立つ。

背中に刺さる視線が痛い。(特に藤ヶ谷!)


「わ、私、写真見てちょっと…ってかかなり怖い人かな、!なんて思ってて」


きんぱつ、だし…!と彼女は付け足すように言った。

ゆっくりと顔をあげた彼女の顔は依然、真っ赤だった。


「でも…」


「、でも?」


「今の笑顔、…可愛くてかっこよくて」




好きになっちゃった…




なんて迷惑だよね、と寂しそうに言う彼女を思わず抱きしめた。





数分後、「今日俺が奢るから」と絵文字付きで宮田に送れば戸惑いまくりの返事が返ってきたのは言うまでもない。

がいるから、俺の気分がいい日は続くだろうな。







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なんだこれ←