「…寒い!手、冷たッ!」
冬は私の天敵です。
「〜?また手ぇ冷えたの?」
「うわーん!手が冷たくて凍えそうだよー!」
「うわ、冷た!やだ、触んないでよ」
は冷たくそう言い放って教室から出ていきました。
(あれ、3年前はにっこり笑って「親友だよ!」って私の手を握ってくれたのに)(人は変わるものです)
「…寒い、」
私は極度の冷え症です。
もう手なんか氷のよう。
なんでうちの学校は冷暖房完備じゃないのかな!
メールだって手が悴んで打てないし友達も触らないでと去っていく…!
仕方なく一人お弁当を机に広げていると、
「ほら、藤ヶ谷走れってー!」
グラウンドから大きな声がしたので冷たい窓ガラスに手をくっつけて外を見る。
どこ、とグラウンドを見渡して数秒。(…いた、)
グラウンドで数人の男子とサッカーをしている北山君。
毎日、せっせとおひるごはんを食べて皆でサッカーをしている。
普段は結構眠そうで(だって欠伸よくしてる)めんどくさがりやな彼だけど、
サッカーしてる姿は子供みたいで。
「…あ、」
ゴールにシュートを決めてガッツポーズをしてる北山君。
かっこいい。すき、すき。
着ている服の裾で北山君は汗を拭う。(へ、へそちら…!)
そのとき、少し上を見上げた北山君と目が、あった。
「…ッ!」
がば、としゃがみこんで北山君の視界から消える。
わ、私今北山君凄く見てたし…!
遠くで見つめてる変な女、って思われたかなあ…?
うぅ、と項垂れていると教室に戻ってきたになにしてんの、と冷たく言われた。(だって…)
その後、と2人でお弁当を食べて、しばらく談笑してた時だった。
「あっちー!!!!」
がら、と扉を開けて入ってきたのは北山君。
汗が滴り落ちて頬も赤い。(その姿にクラスの女子が悲鳴をあげたのは言うまでもない)
「わり、たち窓開けていい?」
一番端の窓側に座ってごはんを食べてた私たちに北山君が話しかける。
ボタン開けすぎ…!鎖骨、じゃなくて、
「う、うん!いーよ…!」
何度も頷いて答えると北山君はにこりと笑ってさんきゅ、と短く答えた。
北山君は私の隣の席に座って汗を拭っている。
汗を拭き終えた北山君は下敷きで顔を扇ぎながらあちー、と呟いた。
「冷たい物とかもってない?…氷とか」
「冬なのに氷なんて持ってこないし」
が笑いながら答えると北山君はそーだよな、と呟いて机に頬をひっつけた。
「あー…。ちょっと冷たい」
ふにゅ、と軽く口元を緩めて目を閉じる北山君が可愛くて私は不覚にもおかずのたこさんウインナーを喉に詰まらせてしまった。
「ッ、けほ!」
「、あんた何してんの」
呆れたような目で見つめるにだって、と返すとは北山君をちら、と見てにやりと笑った。
「きーたやま、」
机も自分の体温で暖まってしまったのか机から頬を離した北山君にがにやにやしながら話しかける。
「何?」
「暑いの?」
「暑い!俺今すっげー暑い。」
「忘れてたんだけど、冷たいものあるよ」
「え、氷とか?」
「氷みたいに冷たいの」
まじ?と心なしか嬉しそうに呟いた北山君を見てはにっこり笑った。
「?そんなもの持ってたっけ?」
私が話しかけるとにっこり笑ったままのが私の手を掴む。
「これ、」
軽く私の手を持ち上げてもう片方の指で私の手を指す。
「は、ぁ!?ちょ、!」
何言ってんの!と言う前に手に新たな、感触。
「うわ、まじ、手ぇつめてー!」
ゆっくりと私の手に視線を変えると私の手を握ってる北山君。
「…ッ!き、きたやま、くん!」
「あー…しあわせ、」
にこー、と脱力したような笑みを浮かべると私の手のひらを頬にあてる。
「つめてー」
「き、きた、やま…君!」
「あ、もう片方の手も貸して」
北山君は徐にもう片方の手も掴んで頬に押し当てる。
周りから見れば私が北山君の顔を両手で包みこんでるみたいで、
「北山君、その…えっと離してほしい、!…かな、」
心臓がバクバクで壊れそうで、頬に熱が集まる。
でも手のひらは変わらず冷たいみたいで北山君は手を解放してはくれない。
「きたやま、くん」
「毎日俺を見てる事、俺が気付いてないと思った?」
「え、」
北山君は口角をあげて、さっさと告白してくればいいのに、と言った。
「…うそ、」
真っ赤な頬でそう呟くと北山君は私を見つめて口を開く。
「俺専用な」
「…なに、が」
この
手
、今日から俺だけのものだから
「もちろんお前も、俺のもの」
そう笑って北山君は私を体ごと抱きしめた。
「俺もお前のこと見てたらから、誰見てるかなんてわかってたんだよ」
そう耳元で呟かれれば体がとけちゃうくらいの熱を帯びる。
「これからは目の前で俺の事見て、応援しとけよ」
そう言って私の赤い頬にキスを落とした。
それから毎日、サッカー終わりの宏光を冷やすのが、私の役目。(冷え性、…最高!)
(090222)
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冷え症は私です!←
そしてお昼休み外でサッカーしてるのは私の好きな人ですが(…)
かわいいみっくんが書きたかったんです
しかもこれ1時間で書きあげた(どーん!