お姉様に見習い執事が付いたって聞いた。

お姉様の執事の青山の話だと呆れた奴って言ってた。


「面白そう」


さ、お姉様の所に行こうっと♪

どんな人かなあ。豆柴って人!




「お姉様!」


「あら、。どうしたの?」


「お姉様の見習い執事を見にきたの!」


が何故それを…。青山」


「申し訳ありません…。」


「青山は悪くないわよ、お姉様!責めないで…?」


がそういうのなら…。」


にこ!とお姉様と青山に笑いかけると2人とも笑ってくれた。(大好き!)

私の1つ上のお姉様は綺麗だしおしとやかだし私の憧れ!

大好きなお姉様みたいになりたくて聖ルチア女学園に入ったけど、

まだまだお姉様みたいにはなれないなあ…。


「…でお姉様?豆柴って方は一体何処に…?」


「これよ」


す、とお姉さまが指を差した方向は下。

ん?と下を見れば…。


「わ、ベンチじゃなかったの!?」


お姉さまが座っているのは人でした。


「お、お姉様!流石に可哀想…!」


「あら、躾をしてあげてるのよ?」


「流石の執事でも椅子にはなりませんって…!ほら、どいてあげよう…!お姉様、」


お姉様を見つめれば青山が「リカ様、」と声をかけた。


「…そうね。可愛い妹の頼みだもの。」


お姉様はにっこり笑った。


「お姉様…!大好きッ!」


ぎゅうっと抱きつけば頭を撫でてくれた。

お姉様は優しいし大好「早くどけよ…」


「…あぁ!ごめんなさい!豆柴…!」


私がお姉さまに抱きついたせいで重さは2倍…。

悪い事しちゃったなあ…。

私が離れると青山がお姉さまに手を差し伸べて立ち上がらせる。

豆柴はゆっくりと立ち上がって私を見る(お、怒ってるかなあ)


「ご、…ごめんなさい…!わざとやったんじゃあ…!!!!」


、謝る必要は無いのよ。」


「うぅ…。でもすいません…。」


「…別にいいけどよ、」


謝ってくれるなら、と付け足して豆柴は溜息をついた。(怒ってるうぅ!)


「ってかあんた、誰」


「おい、見習い!様はリカ様の妹だぞ!?あまり失礼な口を聞くな」


「青山、私は気にしないから…」


「ですが様、」


「私の為に叱ってくれてありがとう…。でも本当にいいから。」


「はい…。」


「良かったわね。が優しい子で」


にこり、とお姉様が笑ったら豆柴はお前とは正反対だよ、と小声で呟いた。

お姉様の方を向くと幸い聞こえてなかったみたいでよかった。


「そういえば。貴女、執事は如何したの?」


「毎日執事のお仕事やって疲れちゃったみたいで熱出して寝込んでるの」


「あら、無責任な執事ね」


様にはもう少し仕事ができるランクの高い執事でないと…。」


「そうよ。CランクよりAランクの執事に変えましょう。Cランクなんていけないわ…。」


「いいの!」


「どうして?」


「だってあの執事が淹れる紅茶とお菓子が、最高に美味しいんだもの!」


クッキーとマフィンとかがね、と話すとまた2人は笑ってらしいわね、とお姉様が呟いた。


「…それに、執事と言えども人間。疲れたりするし体調だって崩すよ。
それだけで用無し、っていうのは可哀想だよ…。たまには休息もあげなくちゃ!」


「それでいいの?」


「うん!だって泉様の執事、木場だってCランクよ?でもあの2人凄くよく成立ってるもん!要は信頼し合うかって事!」


の言う事も一理あるわね。…あら、それじゃあは今日一日執事がいないのね」


「…リカ様。こういうのはどうでしょう」


す、と青山がお姉様に耳打ちするとお姉様は笑ってそうね、と答えた。

お姉様は豆柴を見る。

豆柴は行き成り向けられた視線には?と声をあげて眉に皺を寄せる。


「貴方、今日は1日の執事として仕事をこなしなさい。」


「え?お姉様、」


「いいわね?」


「…まああんたよりはましだけどよ、」


あ、豆柴青山に殴られた……。


「お姉様、でも…」


「いいこと?は1日この人を好きな様に使っていいわよ?何かされたらすぐ私に伝えなさいね。」


「え…あ、うん。」


「それでは、私の大切な妹の身に何か遭ったら許しませんわよ?…行きましょう。青山」


「はい。リカ様」


「お姉様、」


…行っちゃった…。


「えと…その、豆柴…」


「ちげぇ」


「え、?何が?豆柴、」


「俺は豆柴なんて名前じゃねぇよ!」


「ご、…ごめんなさい…、その、へ、変な名前だと思ってたけど…(こ、恐い!!)」


恐くて少し涙目。

きゅう、と手を握って下を向く。(お姉様たすけて…!)

そしたら豆柴(…じゃなくて、誰かさん…?)があ、と戸惑った声を発した。

また怒鳴られるのかな、って思ったらますます身が縮んだ。


「ご、ごめんなさい…。その、もう豆柴とか言わないから…えと、怒らないで…!」


「その…わりぃ。怒ってるわけじゃ、ねぇんだけどよ」


地面を見つめていたら視界に豆…誰かさんの靴先が見えた。(ち、近づいてくる…!)

ぎゅう、と目を瞑ったらぽん、と頭に手を置かれた。

上を向くと困ったような顔して私を見ていた。


「…そんなに恐がられたら俺も困るんだけど…。」


「えと、えと、…ごめんなさい」


「や、謝らなくてもいいけどよ…。」


「あ、ごめんなさい…あ、(謝っちゃった!)」


「ふっ…。おもしれぇ奴。お前、あいつの妹なんて思えねぇー…。」


「お姉様と似てないってよく言われます…。早く、お姉様みたいになりたい…。」


「や、ならなくていいと思うけど(あんな性格悪い奴に…)」


「そう、かなぁ…?」


「お前はお前らしく居れば?」


「!…うん、ありがとう!えと、」


「俺は柴田剣人。」


「柴田…、理人の兄弟?」


「…まあな」


「へぇ…。じゃあ剣人…でいいかな…?」


「まぁ、いいけど」


「うん、剣人…。さっきはあんなに恐がってごめん、なさい」


「怒鳴った俺も悪かったし」


「私怒鳴られた事ないから恐くて。」


「あぁ、そういえばお嬢様、って言ってたな」


「うん。でも私、お嬢様って言葉、似合わないでしょ」


お姉様や泉様の姿を思い浮かべて呟く。

他の人たちに比べたら私はがさつだと思う。

綺麗な言葉づかいも出来ないし騒がしいし…。


「私、素敵なレディになんてなれるのかなあ…。」


「…じゃあ、さ。」


「ん?」


「今日一日で変わればよくね?」


「へ?」


「お前は見習いお嬢様って事で、見習い執事の俺と一人前目指して。」


「…お互いを完璧に育てるって事?」


「おー。」


「……やる!」


「し!じゃあやるか!<」br>


にっこり笑いあって私たちは意気込んだ。

私、素敵なレディ目指して頑張ります!




未熟 2人 不器用 ワルツ




(まだまだ始まったばかりだもん)



(090109)