さん」

俺が愛しい人の名前を呼ぶといつも彼女は綺麗に、笑っていた。

「太輔、お帰り。お風呂入る?沸いてるよ」

さん、」

さんの言葉も聞かずにいつもより強めに抱きしめると俺の肩に顎を乗せて優しく抱き返してくれた。

「・・・久しぶり。」

さんの指が俺の髪に絡む。
愛しそうにゆっくりと俺の頭を撫でる。
俺の仕事が忙しくてこのごろぜんぜん会えなかったから、少しでも触れていたくて。

「・・・・・・会いたかった」

「私も、会いたかったよ」

それだけで十分だった。
さんの声が俺の心に染み込んでいく。
さんの背中に回していた手をさんの頬に移動させた。
さんは髪を撫でるのを止めて俺の手の上に自分の手をおいた。

「夜遅くまで、仕事お疲れ様。・・・寒かったでしょう?」

冷え切った俺の手を握りしめて俺の目を見て微笑む。
それだけで、涙が出そうになった。

「太輔、目・・・潤んでるよ?」

「・・・欠伸しただけ!」

「そっか」

分かり易い嘘も否定しないで嬉しそうに笑う。
嗚呼、愛しい。好き、好き、大好きだ。
また涙が出そうになった。
これ以上潤んだ目を見られるのが嫌だったから唇を重ねた。
少し触れただけのキスだった。
それは俺の中で戸惑いがあったから。
こんなに一緒に居れない俺を受け止めてくれているのかな、って。
そんな不安がいつも心の中にあったから。

「・・・何?これだけ?」

少し不満そうに口を尖らせて子供が拗ねた様に言うさんが可愛くて。
終わりの見えない不安なんてどこかに吹っ飛んで、唇を重ねた。
深く、深く、繋ぎ止めるようにキスをする。
傍に居れなかった時間を取り戻すように、長く、長くキスをする。
さんは少し息苦しそうに吐息を漏らし俺の服を強く握り締めた。
俺もさんの頭に手を回して髪を掴む。
苦しい、と訴える声が聞こえてきたからそっと唇を離す。
赤く染まった頬、恥ずかしそうに逸らす視線、弱々しく服を掴む指。
このさんを見るのが好きだった。
堪らなく幸せな気持ちがこみ上げてくるから。

「・・・ばか」

まだ少し苦しそうに息を切らしながら続けて苦しい、と言ってさんは俺に体を預けてきた。

さん?」

「・・・見ないで。・・・・・・今、いつもの10倍くらい顔、赤い。」

その言葉に俺の顔も少し赤くなった。(うわ、なんか恥ずかしい)

さん、顔見せて?」

「・・・やだ」

「ねぇー」

「嫌」

頑なに拒むさんを見下ろせば、耳が真っ赤なことに気がついた。
耳まで赤くなってるさんを見るのは初めてで、思わず頬が緩んだ。
嬉しいのと可愛すぎるのと幸せだ、って思うのと・・・、とりあえず頬が緩むのは止められそうにない。

さん、まじ可愛い」

「・・・・・・・・・年下のくせに、生意気」

「だってさんが可愛すぎるから」

「何回もいわないでよ」

「・・・本当に、可愛い」

「ばかばかばか」

「・・・ばかでもいいよ」

俺の言葉に真っ赤な顔を上げて唇を少し噛み締める。

「・・・大馬鹿」

「好きだよ」

突然の言葉にまた顔を赤くして俺を軽く叩いた。

「・・・太輔、」

「ん?」

「・・・愛してる、よ」

普段は言わない言葉を呟いて、背伸びをして俺にキスをした。
ねぇ、さん。
隣に居ることもできないし、毎日のように連絡をしてあげられないし、ばかな俺だけど、それでも愛してくれるんだね。
ありがとう。
それだけで俺は救われるんだよ。
さんの笑顔が、言葉が、温もりが、それだけがあれば俺は幸せなんだ。
ねぇ、さん。
傍で笑ってあげれないし、すぐ一人で不安になるし、まだまだ子供な俺だけど、それでも俺はさんを愛するから。
だから俺の気持ちこれからも受け取ってくれるかな?


愛しい貴方へ、気持ちとともに。



(この言葉を送るよ。)(愛してる。)






(081205)








ただいちゃいちゃしてるだけ(笑)の起承転結が無い小説。

すいません・・・!

なんとなく書きたくなっただけ。

もう本当にすいません(2回目)

面白くもなんとも無いですよね。

更新もろくにできないのに・・!