思い出作りに海へ来たんだ

もうすぐ長い夏休みも終わる。
高校生活最後の夏休み、何かしたいと思わない?


考えた私は宏光に電話した。

「もしもし!宏光?」

から電話なんて珍しいじゃん』

「まあね。ところで宏光、」

『ん?』

「皆で海とか行っちゃいますか?」

「行っちゃいますか、じゃなくてお前もう行く気だろ(笑)」

「正解」

いつもの皆を誘って私の家に来て、と伝えて電話を切った。
やっぱり最後に思いで残したいじゃないですかー!

―来たよ!」

ドアを開けるとニコニコ笑ってる太輔が居た。
隣にはニカちゃんが居る。ニカちゃんはよ、と手をあげた。
よ、と返す私に渉がいきなり如何したんだよと問い掛けてきた。
なんとなく、とだけ返しといた。(だって理由は行きたかった、だもん)

「まあ行こう?」

「おー」

ちょっと遠出してみたくなって海についたのは結構夜。

「もう真っ暗じゃん」

「えーでもさ、人が居なくて貸し切りーみたいな感じでさ、よくね?」

「そーだな」

「でもどこで着替えるの?」

「何言ってんの玉ちゃん、そこら辺でしょ」

「いや、。」

ちょっと眉を顰めてわたしを指差した玉ちゃんを数秒見つめて、ああ、と返した。

「私は車の中で着替えるよー」

「ふーん」

「あ、覗いたら殺すから。特にひろすけ」

「ひろすけ…?」

「宏光+太輔=ひろすけ」

「ブッ!ひろすけ!」

「ひろすけー!」

なんかツボにはまった男どもを置いてって車の中で着替える。
・・・まあ、下にもう来てたんだけどね。

「海ー!」

「は?お前下に来てただろ!」

「イエース!」

「ってかこっち見ちゃ駄目ー!」

「なんで?」

「着替え中!」

「そかそか。」

別に君らの裸見たって何も思わんよ。うん。
とにかく浮き輪もって海に入った。

「ひゃ、寒…ッッ!」

夜だし、涼しくなってきてただけに水は冷たい。

ー浮き輪ほかにある?」

「千ちゃんの為に持ってきた!これこれ、」

「ありがとー!」

「ん!」

で、千ちゃんとしばらくじゃれてたら他の奴らも入ってきた。

「ちょっとー千ちゃんとのらぶらぶな一時を邪魔しないでくださーい」

そう言いながら北山達に水をかける。(おい太輔、ここまで来て前髪を庇うな)
なんかこっちに来たたから浮き輪で遠くまで逃げてやった。

「へーんだ!こっちまで来てみなよー」

「横尾!GO!」

「はあ?(だる…)」

おおう、渉泳ぐの速い!

、お前行きすぎたらあぶねぇだろ」

「うん。わったん連れてって」

「しょーがねーな。手、離すなよ」

やべ、お前男前になったなあ…。
渉は私の手を引っ張って浜辺に戻してくれた。

「あーやだ、やばい!さむーい!」

「ってか細ッ!」

「何見てんだ!高くつくよー」

「とりあえず一旦海からあがろーぜ」


「ねーもう明るくなってきてんじゃん」

「うわ、まじだ。」

「家出たのが24時だったもんねー」

がいきなりすぎるから」

「ごめーん。…くしゅッ。あー寒!」

「ねー!砂に埋めてあげよーか?」

「確かに暖かいと思うなー」

「…

「玉ちゃん、どこいってたの?」

「これ」

玉ちゃんが差し出してきたのは、パーカー

「…いいの?」

寒いんでしょ?ほら」

「うわもうまじ玉ちゃん愛してる!」

抱きつこうとしたらひろすけとにかちゃんと横尾の4人から一斉に阻止された。
その様子を見て千ちゃんと宮っちと玉ちゃんは談笑してる。
なんか後ろから抱きついてきた太輔の前髪を引っ張ってやった。

「ねー!」

「ん?」

「また来年もこよ―ね!…約束!」

「…約束」

皆で口を揃えていったあと、確かめるかのように私がもう一回やくそく、ねと呟いたらニカちゃんに水をかけられた。
あんたいつの間に海の中入ってたんだよ!
ばーかって言われた事にむかついて玉ちゃんのパーカーを脱いで海の中へ入った。
そっから8人でまた馬鹿騒ぎして、朝の8時ぐらいに切り上げた。

「なんかぐだぐだした1日だった―」

「来年からはちゃんとすればいーじゃん」

「…そだね!」

綺麗な海に、また来年、と心の中で挨拶して少し先で待ってるあいつらの背中を追いかけた。


(080831)