好きだけど、一番じゃない。
そんな自分の位置は、わかってる。
分かってるからこそ、苦しいんだ。
「赤西」
今日もお前は、俺を名前では呼ばない。
呼ぶのは、あいつだけ。
きっと、この先も。ずっと……。
「―…何?」
悲しくなんかない。
辛くなんかない。
虚しくなんか、ない。
「大好きよ。」
その言葉だけで、十分だ。
「俺も、大好き。」
「あかにし、」
そう言って寄り添って来るのがお前の合図。
今日もまた、ベッドに沈む。
手も繋いだ。
キスもした。
体も幾度となく重ねた。
それでも、お前の心にはいつも穴が空いている。
俺には埋められない、大きな穴。
「ッ……ふ…。あかに、し…。」
「ん・・ッ…?」
「愛してるわ…誰よりも…。」
「―――………上田、よりも?」
『上田』その名前を聞いた瞬間、お前の顔が悲しそうに歪むのを、
お前の手が、震えるのを俺は知っているのに。
一番、近くで見てきたのに。
俺の質問の答えだって、
分かりきっている。
お前の答えは、1つしかない。
「――…ごめんなさい。その言葉は適切では、ないわね。」
声が、肩が、震えている。
あいつを、上田を、思い出しながら。
そんなお前が、俺を悲しませるんだ。
「貴方の事は、大好きよ。愛してるわ。
…でも、そうね、赤西。貴方の事、『この世の誰よりも、愛してるわ。』」
俺の全ては、お前で、お前の全ては、もうこの世には居ない奴で。
「ごめんなさい…。
こんなに、大切に、愛してくれているのに、私、竜也を忘れられない…。
竜也を、今でも一番愛しているの…。」
零れそうな涙を拭って、強く、抱き締めた。
お前がどんなに上田を好きか、知ってるから。
上田がどんなにお前を好きだったか、知ってるから。
「竜也、怒ってるかな…。怒ってる、でしょうね。
今だってきっと、私達の事見てるんだわ。」
「上田のこと、そんなに好きか?」
少し間を置いてから、ゆっくり俺を見上げて、ええ、好きよ。と言った。
俺は腕の力を少し弱めてそっか、と呟いた。
俺の目から涙が溢れそうなのを、今は……気がつかないで。
「でも、ね」
「貴方も好き。」
そう言って泣きながら微笑んだ。
愛するも罪
(だったら、2人で落ちて行こう。どこまでも。)