行き慣れた道を歩き、いつも見る扉を開ける。
「良太郎」
「ちゃん」
良太郎に手を振り、店内を見渡すと、今は私と良太郎2人だけだった。
いつもの場所、良太郎の隣に座り、微笑みかける。
「・・・良太郎、その頬、」
「あ・・・、この前戦った時にちょっと怪我しちゃって・・。」
少し困ったように笑い、傷を触る良太郎。
「良太郎は、戦うの、嫌じゃないの?」
「・・・少し辛いけど、大丈夫。・・・モモタロス達も、いるから・・・。」
良太郎、君は優しくてとてもいい人なんだよ。
戦うなんて、辛いはずだよ。苦しいはずだよ。
君は優しい人だから、途中で逃げ出さないんじゃないかって、思うときがある。
世界を見捨てる事が出来ない良太郎は、自分を犠牲にしているような気がする。
『良太郎!イマジンが来たよ!』
ウラちゃんの声が店いっぱいに響いた。
「分かった。今行く」
「…良太郎、」
良太郎に会うたび、良太郎の体には痛々しい傷がある。
その傷を見るたび、涙が溢れそうで、もうやめなよ、って言いたくなる。
また、その傷を増やしに行くの?
もう、そんな姿、見たくないんだよ。
「もう、いいんじゃないの…?」
自分でも驚くほどに声が弱々しく震えていた。
「良太郎はこんなに頑張ったんだよ…?もう良いじゃない…。」
良太郎はこんな事言われても困るだけだって分かってる。
でももう耐えられなくて、辛くて、溢れ出しそうなんだよ。
大好きな人が傷つくのはもう、見たくない…。
「ちゃん」
良太郎は、優しく微笑んでいた。
「僕は、本当に大丈夫だから。」
「でも・・・、」
「僕は、守りたいんだ。世界も、姉さんも、侑斗も、―・・・ちゃんも。
僕には帰る場所がある。だから頑張れるんだ。」
…いつの間に、こんなに強くなったんだろう。
良太郎はいつも頑張っていたのに、私はそれを否定してばかりで。
「りょう、たろう」
この傷も、この腕の傷も、全部、全部全部、良太郎が頑張った証。
良太郎が強くなったしるし。
―…もう、やめてなんて、言わないよ。
「…私、ずっと良太郎の帰り待ってるからね。
だから…頑張ってね……。」
涙混じりに伝えると、また優しく微笑んでありがとう、って言ってくれた。
「途中で諦める、何てこと絶対しないから。
最後の最後まで頑張るから、ずっと隣にいて」
返事は後で聞かせてね、と言って良太郎は行ってしまった。
もちろん返事は、「はい」しかないよね?
―――――――――――――――
なんかいきなり電王ネタすみません…。
いとこがルーキーズでは岡田君が好き☆きっかけは電王!って言ってて『あ、書きたい』って思って…
久々の更新なのにジャニ以外…。本当にすみません!
曖