朝、学校へ行くと、藤ヶ谷君の姿が見えた。
「(今日もかっこいいなあ)」
「、おはよう!」
にっこり笑って手を振ってくれた藤ヶ谷君に手を振り返して近寄ってみる。
「…は?」
「あ〜今日は休むって。」
「そっか」
は私の友達で、藤ヶ谷君の…彼女。
もう付き合い始めて1年は経つ。
私のほうが先に好きになったのに…。でも藤ヶ谷君が好きになったのはで、
私は藤ヶ谷君からしたら彼女の友達って所だろう。
「、」
「ん?何?」
「あのさ、……いや、なんでもない」
藤ヶ谷君は笑って答えたけど、さっき一瞬だけ辛い顔をした気がする。
でも今も笑って話してる藤ヶ谷君を見て気のせいだったかなと思った。
…そのとき、すぐに聞けばよかったんだ。「何かあった?」って。
何で私はいつも大事な所で行動に移さないのかな。
放課後、藤ヶ谷君と2人でのお見舞いに行こうかって話になった。
を驚かせようかと思って、には連絡しないで行った。
「大丈夫かなー」
「うん…。」
「って風邪ひいたの?」
「多分」
の家に近づくたびに藤ヶ谷君の元気がなくなってる気がする。(前髪がしゅんってなってる気がする…!)
「藤ヶ谷君。如何した・・「風邪なんて嘘に決まってるじゃん!」
「・・・」
驚いて声が出なかった。は今家から出てきた。…それだけならよかった。
隣には、男の人。
「太輔にバレたらめんどくさいし。太輔が学校の時なら安全でしょう?」
高い笑い声が聞こえる。
何?は…
「俺と付き合う前から、あの男と付き合ってたんだ」
「…え?」
「―…あの男と別れそうになったから俺を新しい彼氏にって思ったみたい。
まあ、すぐ仲直りしてたみたいだけど。」
辛そうに話す藤ヶ谷君の顔はさっき私が見た表情と一緒だった。
「いい加減別れろよな」
「太輔いろいろ奢ってくれるんだよね。顔も良いから連れて歩くにはいいの〜」
「俺は?」
「好きなのはあんただけだよ〜!太輔なんて好きになるわけ無いでしょ?」
…顔が良い?…連れて歩くには良い?
「…何、それ」
「?!」
まだ私たちに気がついてないの元へ向かう。
「調子はどう?…」
「…!」
「…学校休んで男と会うなんて、いい身分だね。
藤ヶ谷君の事何も考えないで。」
「…太輔」
振り向くと藤ヶ谷君がいた。
「ハァ…。ばれちゃったし…別れよ。太輔、あんたなんてはじめから好きじゃなかったし。」
「…知ってる」
「行こう?」
男と手を繋いで行こうとするが無性に許せなくなって私の中で何かが切れた。
「ふざけないでよ…」
「はい?なんか言った?」
「ふざけないでって言ってるの!」
こんなに怒って叫んだのは久し振りな気がする。
「藤ヶ谷君がどんな気持ちでいたのか知ってるの!?
あんたみたいな女後で絶対痛い目見る!!!」
力いっぱいの頬を叩いて藤ヶ谷君の腕引っ張って行く。
「?」
「…ッ」
「…ありがとう。俺の為に、泣いてくれて」
「だって…ッ、悔しいもん」
「さっきの、すっごいすっきりした!」
藤ヶ谷君を見上げると、清々しい笑顔を浮かべていた。
「だったら…よかった。」
「何であそこまで怒ってくれたの?」
「え…。」
きょとん、とした顔で首を傾げてみてくる。(可愛い)
「え…、その、えっと」
いつのまにか涙なんか引っ込んで顔が赤くなっていく。
藤ヶ谷君は変わらずきょとんとしてる。
「その、…ずっと…好きだったから…」
「え…!いつから…?」
「藤ヶ谷君がと付き合う前から…」
「そっか…」
それっきり藤ヶ谷君は黙り込んでしまった。
「ふ、藤ヶ谷君?」
「…やばい。」
「…何が?」
「好きになったかも…!」
「ええ?!」
「さっきの、とっても嬉しかったし…」
「嘘、だぁ」
「ほんと」
「じゃあ、」
「付き合ってくれる?」
「は、はい…!」
「じゃあこれからよろしくね。」
「(!)こ、こちらこそ…!」