こんな毎日に疲れた、なんて贅沢かもしれないけれど、もう本当に嫌なの。

さん、一緒に帰らない?」

笑いかけてくる貴方は誰ですか?
毎日毎日違う人からそんな事言われても返事するのも疲れたんだよ。

「ごめんなさい。用事あるの」

そう言って男の前から立ち去る。
遠くで女子が陰口叩いてる。
私はただ断っただけなのに。


自分で言うのもどうかと思うけど、私に言い寄ってくる男は多い。
どうせ見た目で判断してるんだと分かっているけど。
去年ずっと好きだった人から告白されて付き合ったとき、
たった1週間で別れを告げられた。
理由は、『顔が良いから付き合ったら性格は普通でつまらなかった。』
それから男と言う生き物が嫌いになった。
見た目だけで勝手に判断されて勝手に愛想つかされて、もううんざり。
そのおかげで、女子にも幾度となく陰口を叩かれる始末。
本当に疲れた…。

さん!」

振り返ってみると同じクラスの藤ヶ谷君。
別にそんなに接点ないし話したこともあんまり無い。

「何?」

「え、っと…話あるんだけど…。」

「うん。何?」

「…場所移動して良い?」

確かにここは廊下の真ん中。話しづらいかもね。
藤ヶ谷君についていって屋上に移動した。

「で、話って何?」

「う、うん。…えっと、俺ずっとさんの事好きだったんだよね。…よかったら付き合ってくれない…?」

藤ヶ谷君には悪いけど心の中で溜息をついてしまった。
どうせ中身なんて、見てないくせに…。

「どうして…?」

「え?」

「私、藤ヶ谷君とあんまり話したこと無いよね?私の何処が好きなの?」

少し藤ヶ谷君の表情が曇った気がした。
答えられないんでしょう?

「外見だけで判断しないで…。そんな人、大嫌いなの。」

不意に涙が零れ落ちる。こんな事今まで無かったのに。
今まで溜まってたものが爆発したみたいに感情が抑えきれない。

「何で中身を見てくれないの…。生半可な気持ちで簡単に好きとか言わないでよ…ッ!!!!!!!」

「―…違う」

「…何、が?」

「俺さんのこと外見で判断してない」

「じゃあ、何…?」

そんなこといわれたのは初めてだったけれど、嘘なんじゃないかって気持ちが渦巻いてる。

「誰も手入れなんかしない花に放課後水あげてたり、俺がシャーペン忘れた時さりげなく貸してくれたり、
女子とかに悪口言われても我慢して、誰も居ない所で声押し殺してないてたり、
…優しくて、強くて、頑張ってるさんを好きになったんだよ」

―…なんでそんな細かい事1つ1つ覚えてるの…?
何で、私のそんな内面知ってて好きって言ってくれるの…?
なんでそんなに優しく微笑みかけてくれるの…?

さん、今、心許せて、心から信じられる人、居る?」

心許せる、人…。親友だと思ってた子からは裏切られた。
優しくしてくれていた男子も下心があった。

「…居ないよ。そんな人……。」

「俺に心、許して?俺、もうさんが1人で悲しむ姿、もう見たくないんだ」

「裏切られるの…嫌―…。」

「俺、さん裏切らないって誓える!俺に何でも相談してよ。一人で、抱え込まないで。」

「何で、私なんかにそこまで言えるの…?」

「簡単だよ。…好きだから」

真剣な藤ヶ谷君の言葉、信じてもいいのかな。
心許してもいいのかな。
好きになっても、いいのかな…。
この人は私を理解してくれている。
そう思った。

「藤ヶ谷、君」

「…何?」

「甘えても、いいの…?(貴方のその、優しさに)」

「うん」

「―…信じて、良いよね」

「もちろん」

にこって笑う藤ヶ谷君に助けられた気がした。
心開いて良いって思えた。

さん。」


もう、大丈夫だよ

そう言って優しく抱きしめてくれる藤ヶ谷君を心から愛し、信じようと強く思った。



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なんかいきなりこういうの書きたくなった…

本当は北山さんだったのにいつのまにか藤ヶ谷さんに・・・←

藤ヶ谷さんは包容力あって優しい人だと思う。

しっかり人と向き合ってる人だと思う。

なんかほのぼのって感じが書きたかった