いつまでも夢見る女じゃない。
 例えば人気の先輩に気に入られたり、
 かっこいい同級生から告白されたり、
 自分の理想ぴったりの転校生が来たり。

 2つ目まではまぁ、あるかもしれない…。
 とっても可愛い…ほら、親友のとか。
 でも、それは可愛い、限られた子だけであって私みたいな女は
 そんな事、夢見るだけで無駄だと理解してる。

 …で、3つ目は、有り得ない。
 そんな都合よく自分の理想ぴったりの転校生なんて有り得ない。
 夢見るだけ、無駄。


 ―……なんてことをキョンちゃんに話していたら
 「冷めてるね」って言われた。
 
 「冷めてないよ。現実を分かってるだけ‐」

 「そう??俺は冷めてると思うけどなー」

 「夢見るぐらいなら現実を見ろって感じ!!」

 「そんなに現実酷い?」


 なんて笑いを含んだ声を聞きながら回りを見渡す。
 北山?‐・・・チビだしなー。駄目。
 横尾?‐・・・いや、彼女居るし。
 ぁ。五関君?−・・・なんか違う。
 なんて思ってたら「考えすぎ」って笑われた(キョンちゃん可愛いー)

 「ってかけっこうもてると思うけどなー」

 「えぇぇぇぇ!ありえなーい。」

 「でも前千賀から告白されてたじゃん」

 「千ちゃんは違うのー。私の中のかっこいいは山下先生だから!」

 あんな王子様って言葉が似合う人他にいないよねー。
 安田先生も可愛いよねー!!
 先輩といえば田口先輩もさわやかだよね。上田せんぱ「ーーー!!!!!」
 …あぁ。騒がしいのがきた…。

 「2人ともおはよー☆」

 「…オハヨウ。バカワイ…」
 
 「おはよう河合(笑)」  

 「ねぇねぇ!ニュースニュース!」

 ほら。馬鹿じゃん…。「バカワイ」って言われて気が付いてないし。

 「はいはい。何?」

 「今日転校生くるってさ!」

 「え!まじで?男?女?」

 興味津々。って感じで北山が近づいてくる。

 「男!錦戸先生が職員室で話してた」

 「何だ男か…」

 一気にテンションを下げた北山は横尾のところに向かっていった
 (分かりやす・・。だから告白する前にふられるんだよ!)
 
 「転校生が男」と聞いた女子は「かっこいいかなー」なんて
 キャーキャー言ってた。(だから夢見るだけ無駄だってば)

 「席付けや-」

 「やば。亮ちゃん来た。キョンちゃん河合またね」

 「うんばいばい」

 「またねッ」

 キョンちゃんと一応河合に(酷っ!! by河合)手を振って席につく

 「錦戸先生!転校生は‐?」

 「お前らそんな情報どこで入手するんや。…おい、入ってええで」
 
 ‐…ガラッ

 ドアが開いた瞬間女子の黄色い声があがった。

 「藤ヶ谷太輔です。えーっと…宜しく!」

 女子が声をあげるのも分かる気がした。かっこいい…。
 って言うか…。

 「理想ぴったり…。」

 「へ?」

 「!!!…いや……。き、今日の亮ちゃん理想ぴったり☆…って思ったり、
 思わなかったり…?」

 「なんやそれ!思っとけ!しかも錦戸先生って呼べゆーてるやろ」

 「亮ちゃん亮ちゃんりょーちゃん!」

 「うっさいわボケ!…もーええわ。」

 あっぶな…!うまく誤魔化せた・・?いや、ほんと理想ぴったりだもん!
 …あ、もちろん亮ちゃんじゃなくて藤ヶ谷君ね。
 ってかさっきまでこんな事有り得ないって思ってたよね!
 や、ほんと、王子様…。山下先生よりかっこいいし・・。 
 うわ。どーしよ。なんかドキドキしてきたし!

 「藤ヶ谷の隣は‐…の隣でええわ」

 「…?」

 「あいつやあいつ。さっきのうっさい奴や」

 「む!うっさいのは亮ちゃんじゃん!」

 「どう考えてもお前やろ!」

 「なにさ!ぜった………ぅええええ?!」

 「何やねんほんと…。」

 「え、え?(隣????となり!?)」

 「藤ヶ谷、あそこやあそこ」

 「さん宜しくね」

 「え、え…えっと…ハイ…。」

 うわ!今絶対挙動不審になってた!!
 ってか藤ヶ谷君笑ってるし!!!!!!!!!! 
 
 「さんって面白いね」

 「…き、…恐縮です…?」

 「あはははっ」

 「う゛ぅ・・・」

 上手く話せない!あーやばい…。これ恋かも! 
 ってか藤ヶ谷君めちゃくちゃ笑ってるんですけど!(どーしよ!)




 「仲良くしよーね」

 「!!!!…よ、よろこんでっっ!!!!!(かわいい!)」

 「いいかげん黙れや…(なんやねんあの幸せオーラ…)」